勝手に小説 FASTEST#01 Peaceful daily

―なぁ、

―何だよ。

―【神】っていると思うか?

「……」
 目を開ける。教室を見回すと、数学の授業の真っ最中のようだった。
「…夢、か。よくもまあラドムに見つからなかったもんだな。俺」
俺の席は窓際に位置し、このくだらない呟きを誰も気付くことはない。クラスメートは大体集中して授業を聞くか、あるいは寝るかのどちらかに別れるのだ。
 …ただ、ラドムの授業で寝ると恐ろしい眼差しで睨んでくるため、寝る事なんかできるはずがないのだが。今回は奇跡だったのかもしれない。

 レイフェル、とは俺の名前だ。ビルの立ち並ぶ都市『プロヴィンス』の一学園に通う高校二年生。担任であるラドムのお陰で何故か数学だけは高得点を獲得できる。他の教科は親友であるトウュリカに詳しく教えてもらい、同じく親友の疾風丸と協力して解く。それが日常だ。
更に大学には羅(通称「羅ーさん」)、小学校にはシウ等、他にも数々いるが沢山の友達を持っている。それなのに未だ俺は不良と呼ばれるのだ。…見た目のイメージで判断するんじゃねぇ、と心中で細やかに訴えてみる。馬鹿らしいか。

ここしばらくの間、俺はとにかく色々な事に驚かされた。一番驚いた事といえば、やはり2ヶ月前の事件だろう。
その事件とは、音楽を担当する教師カミタがシウを誘拐したというもの。詳しくは言わないが、児童虐待の罪に問われるんじゃないかと思ってしまうくらいのカミタによる暴力っぷりに俺・トウュリカ・疾風丸の三人は思わず目を見張ってしまったのをよく覚えている。そして俺は殴りかかったのだが、呆気なく突き倒されてカミタの餌食になってしまった。
ただ、「驚いた」と感想を述べるべき場面はここではなく、その直後に起こった。
何度も殴り蹴りを繰り返され、血塗れになった俺。残酷な光景を目の当たりにしたシウは急に怒り、なんと輝き始めたのだ。
そしたら彼の背中から半透明でぼんやりと光る翼のような物が現れ、驚異的なスピードでカミタを一瞬の内にこてんぱんにした。俺はまさかと思ったのだが、その予想は見事に的中した。

そう。シウは『能力者』だったのだ。
ここで少しだけ余談をさせてもらう。とある業界では『能力』の有無について議論が交わされているらしい。そして今現在固定されたのは「能力及び能力者は存在しない」という説だった。
 さらに、よく歴史の授業で見かけるであろう「約3000年前に『星の戦士カービィ』という者がいた」という説に関しても同時に否定、抹消されたのだ。
しかしシウは『能力者』であり、カミタを倒した後「僕、実は『星の戦士』の末裔なんです」と暴露したのに対して俺達は「……は?」としか反応できなかった。当たり前だ。それは「あるはずがない」と認識し切ってしまったのだから。

…という事があって今に至る。



…どうでしたか?所々勝手すぎる設定がありましたが。主人公はシウではなくレイフェルとしてやらせて頂きました。